森の中に佇む巨大な車輪は数本のチェーンによって自立し、直立している。
　「車輪は、自動車、自転車、電車、飛行機などに利用され、腕が２本しかない人類にとって物体を移動させるための大発明である。その車輪は回転することが宿命であるために軸が無ければその役割を果たすことができない。私は、宿命を背負わされた車輪の重荷を下ろすべく軸のない車輪を作ろうと思った。自由を与えてやりたかった。しかし、軸のない車輪は支える箇所を失ったことによりスポークからバランスを取るために鎖に繋がなければならなくなってしまった。軸を奪われた車輪は回転という労働を返上し自由を手に入れた。そして、孤独になった。」